「漫画 君たちはどう生きるか」を医大生が読んだ感想と、なぜ売れたかを分析

君たちはどう生きるかをやっと読んだ

2019年になってやっと読んだ。

めちゃくちゃ話題になっていたので「ミーハーはいやだ!」と敬遠していたが、とうとう読んだ。

この記事では、なんの素養もない医大生がこの本を読んだ感想と、なぜこの本が売れたのかという分析を書いている。

ブックレビューでなぜ売れたかまで考えるのは変かもしれないがそっちがメインになってしまった。

君たちはどう生きるか

「漫画 君たちはどう生きるか」は2018年めちゃくちゃに流行った。

詳しく言うと、

・amazon2018年和書ランキング 1位
・オリコン年間“本”ランキング2018 1位
・トーハン、日販、大阪屋栗田 2018年ベストセラー〈総合〉1位

このくらいのすごい結果らしい。

1937年に出版された吉野源三郎の小説「君たちはどう生きるか」を漫画としてリメイクしたものだ。

80年経った今、新装版と漫画版が出版されて計212万部を突破したそうだが、僕は漫画版を読んだ。

本の内容をザックリ説明すると

舞台は1900年代初頭の東京

少年「コペル君」とその亡き父親代わりに面倒を見るおじさんとの物語。

いじめ、貧困、世界、歴史、人生、人間関係

そういった大きなテーマについてコペル君とおじさんとの対話を通じてもう一度考えてみようという本だ。(たぶん)

ネタバレしないように気をつけたらザックリしすぎた()

コペル君の名前の由来から学ぶこと

ある日コペル君は物質が分子からできていることを学んで、「目に見えないけれど存在している」ということを不思議に感じた

水滴というものは、水分子という小さなものの集まりで、確かに水分子はそこに存在してるけど、目に見えない。

そして、デパートの屋上から下を眺めたとき人間が小さく見えた。

この世の中自体が、遠くにいて自分の目には見えない無数の人間から成り立っているということに気がついた。

(コペル君天才か?ませ過ぎてないか?僕が中学生の時はポケモンと好きな子のことしか考えていなかった。)

そんなコペル君の気づきに対して、おじさんはコペルニクス的なものを感じてコペル君と名付けた。

コペルニクスとは、かつて地球を中心に太陽などの天体が回っていると信じられていた時代に、コペルニクスが「太陽を中心に地球が回っとるんじゃ!」という地動説を言い張って迫害されたおっさんだ。

コペルニクスから学べること

そしてコペル君のおじさんは次の話につなげた。

コペルニクスのように、自分たちの地球が広い宇宙の中の天体の一つとして、その中を動いていると考えるか、それとも、自分たちの地球が宇宙の中心にどっかりと座り込んでいると考えるか、この二つの考え方というのは、実は、天文学ばかりのことではない。
世の中とか、人生とかを考えているときにも、やっぱり、ついてまわることなのだ。

子供のうちは、どんな人でも、地動説ではなく、天動説のような考え方をしている。
みんな、自分を中心としてまとめあげられている。

(中略)

それが、大人になると、多かれ少なかれ、地動説のような考え方になってくる
広い世間というものを先にして、その上で、いろいろなものごとや、人を理解してゆくんだ。

(中略)

しかし、大人になるとこういう考え方をするというのは、実は、ごくだいたいのことに過ぎないんだ。
人間がとかく自分を中心として、ものごとを考えたり、判断するという性質は、大人の間にもまだまだ根強く残っている。
いや、君が大人になるとわかるけれど、こういう自分中心の考え方を抜けきっているという人は、広い世の中にも、実にまれなのだ。

真面目な感想を言うと、年をとるだけで大人になって、考えが洗練・熟成されると思い込んでいるけれど全然そんなことはなくて、自分自身で気をつけないと自分中心の考え方固まってしまうから気をつけないといけないと改めて思い知らされた。

こんな感じでコペル君のストーリーが漫画になっていて、そこから得られる教訓をおじさんからのノートとして載せられている

いじめ、人生、歴史、貧困、人間関係、生活を取り巻くあらゆることに対する倫理観を再度確認させてくれるんだ。

子供に読ませたい

小学生や中学生でも全然読めるような易しさ

内容的にもそうだが、高校生なら読めそうな漢字にもふりがながふってあるので、誰でも読めるように気遣って作られたんだなと感じた。

子供の頃の方がセンシティブで、倫理観というのは幼稚園や小中学校の間にだいたい固まってしまうものだと思う。

だから自分に子供がいたら、小学4年生くらいになったら読ませてあげたいなと思った。

とりあえず小5のいとこにプレゼントしよう。

半分漫画だからとっつきやすくて、倫理観の高い、優しくて立派な人間に導いてくれる本だ。

もともとこの本の著者は児童書作家だから子供が読むことを前提に設計していたかもしれない。

なぜこんなに売れたのか

僕の悪い癖で、本を読んだり、アーティストのライブに行ったりしたら、「なぜこんなに売れているのか」「なぜこんなに人気なのか」「自分だったらどうする」という思考になってしまう。

単に「自分も立派な人間になろう」と決意するだけでなく、いつも通り分析して今後のビジネスの足しにできればと思う

誰にでも読める易しさ

まず誰にでも読める単純なストーリー、難解でない言い回しがある。

例えばめちゃくちゃ売れた本、「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」があるが、いくら表紙をアニメガにして親しみやすい状況設定にしても内容が内容なので小・中学生は読めないし、人によっては大学生でも難しいと感じる。

しかし「君たちはどう生きるか」は小学生から大人まで読める。

そもそもの読者の潜在数がデカい

漫画であること

漫画は日本人にとって一番親しみのある娯楽。

漫画のウケ方すごくて、最近ビジネス書がどんどん漫画化されている

ホリエモンの「多動力」も漫画化されたし、「アドラー心理学」「LIFE SHIFT」も漫画化された。

ウェブ広告の業界でも、漫画を乗せたものへの人々の反応度合いがかなり高いことがわかっている。

それくらい漫画は人々のアテンションを引く

漫画のタッチが普通のビジネス書のそれと違う

人間は見た目で判断する動物らしい。

見た目によって植え付けられる印象はかなり強い。

本の表紙を見てもらったらわかるが、「アドラー心理学」や「LIFE SHIFT」などのビジネス書の漫画はいかにも「マンガ」というビジュアルだ。

ほとんどのビジネス書の漫画バージョンはこのようなキレイで現代的なタッチ。

一方で「漫画 君たちはどう生きるか」はなんとなく昭和感の漂うものだ。

この昭和感が漫画のある種の下賎なイメージからは離れて、高尚な読み物に手を出しているような錯覚を覚えさせるキーポイントだと思う。

ワンピースのようないかにも漫画といったコミックスを進めて買い与える親はいないが、手塚治虫の「ブッダ」や「火の鳥」ならば買ってもいいかと判断する親の気持ちを想像してほしい。

対話型にすることで人間に刺さる

コペル君とおじさんのやり取りを描く、というスタンスもこの本が売れた要素だと思う。

ネットで商品を売るためのウェブライティングでは「みなさん」という言葉は使わずに、「あなた」という言葉を使うように注意する。

この理由は、「あなた」ということによって、今まさにあなたは話しかけられているのだ、という感覚を覚えてより文章に引き込まれていくからだ

これと同じように、対話型にすることであなたが主人公になったように読み進めることができる

この本ではあなたが「コペル君」になったかのように、おじさんのノートを読んでいるという感覚だ。

対話型にすることによって売れた本はいくつもある。

「夢をかなえるゾウ」はガネーシャとサラリーマンによる会話を本にしたものだが、200万部売れた。

「神様とのおしゃべり」という本は神様とサラリーマンの会話担っているがこれも20万部。

最近ではキングコング西野亮廣さんの「新世界」という本がある。

これは登場人物が2人出てきて会話を繰り広げるわけではないが、今まさに西野亮廣さんが本を読んでいるあなたに話しかけているように書かれている。

対話型は情報量の密度こそ低いかもしれないが、人の感情に訴えかけて心に刺さるかなり使える手法なのではないかと考える。

あなたが本を書こうとしているなら部分的にも取り入れてみると良いかもしれない。

さいごに

出版業界になんの知識もないし、文章については全くの専門外だけど色々考えてたことを書き殴った。

一番思ったことは僕も本を出版して印税が欲しい()

終わり。